← versions
ねらい
探索という行為をミニマルに抜き出して、ゲームにできないかと考えた。
そしてもうひとつ。3次元空間の立体感を、等高線という形で2次元に写し取る表現が好きで、その図から立体を読み取り、感じ取ることがキーになるゲームにできないかと思った。
コンセプトではもちろん橋本麦さんの「よさ」の探索を3次元空間の山歩きに例えるグラフィックに大きなインスピレーションを得ている。これと同じようなことをゲームをよくするための繰り返しの中で体験した。アイテムを増やして敵を増やしているうちによくわからなくなって、そういう要素を全部消してこのゲームの根本的な手触りを確かめるために探索という体験に戻ったりした。それ自体が探索であり「山に登るために山を降りる」ということの重要さを感じた。
ゲーム体験の構築には『デス・ストランディング』から大きな影響を受けている。確認してルートを構築してまた進むということがゲームになる。この体験の自分の好きな部分をよりミニマルに表現することを考えた。デスストは素晴らしいゲームだが時間がかかるしオバケが出てきて怖いので僕はまだクリアできていない。このゲームにはオバケは出てこない。
上から見たオルソの等高線と色で高度を表現するのは越後妻有里山現代美術館で見た宮坂了作の作品に影響を受けている。地図の高度色を使うことで人は一枚の図からバカでかい異様な光景を想起してしまうことを教えてもらった。
地面の明度は尾根谷度を使用している。これは高度という尺度を捨象して立体を表現する赤色立体図法から拝借している。
いま悩んでいること(これまでの試行から)。
- 等高線から立体を読み取ること自体が核のはずなのに、高度の色や陰影を足すほど一目で高低が分かってしまい、読む余地が減る。どこまで手助けして、どこを委ねるか。
- スコアの軸。滞在高度の積分は中堅の安全地帯で粘るのが最適になり、追う実感も薄かった。今は到達した最高高度にしているが、頂に着けるか否かのオール・オア・ナッシングに寄りがちで、道中の小さな達成をどう刻むか。
- 一度高みに立ってからさらに高い頂へ降りて挑む選択を、損得の悩ましさとして成立させたい。中途半端な高さの価値づけが難しい。
- 敵は要るのか。アイテムと敵を盛るうちに焦点がぼやけ、一度すべて消した。緊張感は欲しいがミニマルさと両立させたい。敵を戻すか、地形のリスク(崖・転落)だけで足りるか。
- 寄り道の意味。ボーナスは今のところ制限時間の延長。次のプレイに効くローグライク的なメタ進行は面白そうだが、まだ早い。1回のランで完結する設計でどこまで動機を作れるか。
- 視界の塩梅。遮蔽は探索を生むが、見えない領域はときにストレスになる。ズームをレーダー消費制にして覗ける頻度を絞ったが、覗ける量と探す手応えのバランスは未確定。
- 引き算で核を保てるか。探索をミニマルに抜き出すと言いつつ、つい要素を足したくなる。足しては消す、その繰り返し自体がこのゲームをめぐる探索になっている。
- 最高地点にたどり着くことがゲームのゴールである、という目的を、言葉を使わずにどうやって初見のプレイヤーに理解してもらうか。とりあえず上に登ってみたくさせるのが良さそうだが、現状初見だと高度計のカラーリングだけでどっちが上かを理解しないといけなくて負荷が高い。
- 単純に最高地点にたどり着いたらクリアで終わりにするよりも、プレイの仕方に広がりを持たせたい。単純にボーナスポイントみたいにするのはつまらないので、最高地点以外の探索を楽しめるようにする工夫が必要。